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物流の適正化・生産性向上に向けた日本パン工業会の自主行動計画

2023年11月16日

一般社団法人日本パン工業会

 製パン事業に携わる当会の会員企業は、毎日、多種類且つ大量のパンを生産し、全国各地の小売店、消費者にお届けしていますが、今後においても安定した食料供給を継続していくため、政府において2023年6月2日に公表された「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」に則して、当会の会員企業が取り組む「物流の適正化・生産性向上に向けた日本パン工業会の自主行動計画」を以下の通り策定します。

1.発荷主事業者・着荷主事業者に共通する取組事項

(1)実施が必要な事項

■ 物流業務の効率化・合理化

① 荷待ち時間・荷役作業等にかかる時間の把握

(発荷主)
 個店配送は、製品の出荷に係る荷待ち時間及び荷役作業等(荷積み・荷卸し・附帯業務)にかかる時間を把握します。
 工場間輸送は、入出荷に係る荷待ち時間及び荷役作業等にかかる時間を把握します。

(着荷主)
 入荷に係る荷待ち時間及び荷役作業等にかかる時間を把握します。

* 荷待ち時間とは、集荷又は配達を行った地点(集荷地点等)における到着日時から出発日時までの時間のうち、業務(荷積み、荷卸し附帯業務等)及び休憩に係る時間を控除した時間(待機時間)を指す。

* 附帯業務とは、貨物の荷造り、仕分、検収及び検品、棚入れ、ラベル貼り、その他の運送事業に附帯して一定の時間、技能、機器等を必要とする業務のこと。

② 荷待ち・荷役作業等時間の短縮

(発荷主)
 物流事業者に対し、長時間の荷待ちや、運送契約にない運転等以外の荷役作業等をさせないよう努めます。
 荷待ち、荷役作業等にかかる時間を短縮することに努めます。
 また、物流事業者が貨物自動車運送事業法等の関係法令及び法令に基づく命令を遵守して事業を遂行することができるよう、必要な配慮を行います。

③ 物流管理統括者の選定

(発荷主・着荷主)
 物流の適正化・生産性向上の取組を事業者内において総合的に実施するため、物流業務の実施を統括管理する者(役員等) を選任します。
 物流管理統括者は、物流の適正化・生産性向上に向けた取組の責任者として、販売部門、調達部門等の他部門との交渉・調整を行います。

④ 物流の改善提案と協力

(発荷主)
 着荷主事業者との商取引契約において、荷卸し場所が遠い、荷卸し時間が限られている等物流に過度な負担をかけているものがないか検討し、改善するよう努めます。また、取引先や物流事業者から、荷待ち時間や運転者等の手作業での荷積み・荷卸しの削減、附帯業務の合理化等について要請があった場合は、真摯に協議に応じるとともに、自らも積極的に提案します。

(着荷主)
 発荷主事業者(原材料の仕入先等)との商取引契約において物流に過度な負担をかけているものがないか検討し、改善するよう努めます。また、発荷主事業者から、荷待ち時間や運転者等の手作業での荷積み・荷卸しの削減、附帯業務の合理化等について要請があった場合は、真摯に協議に応じるとともに、自らも積極的に提案します。

■ 運送契約の適正化

⑤ 運送契約の書面化

(発荷主)
 運送契約は書面又はメール等の電磁的方法を原則とします

⑥ 荷役作業等に係る対価

(発荷主)
 運転者が行う荷役作業等の料金を支払う者を明確化し、物流事業者に対し、当該荷役作業等に係る適正な料金を対価として支払います。
(着荷主)
 発荷主事業者(原材料の仕入先等)との間で荷物の納入場所を契約書、覚書または見積もり書等(以下「契約書等」という。)で定めます。
 発荷主事業者に対し荷役作業等を委託する場合には、発荷主事業者とその対価を契約書等で取り決めて確実に支払います。また、発荷主事業者が物流事業者に運送を委託しているときは、発荷主事業者に対して物流事業者との間で荷役作業等に係る対価の支払いを契約書等で明確にするよう検討を促します。

⑦ 運賃と料金の別建て契約

(発荷主)
 運送契約を締結する場合には、運送の対価である「運賃」と運送以外の役務等の対価である「料金」を別建てとし、契約書等で明確にすることを原則とします。
(着荷主)
 発荷主事業者(原材料の仕入先等)が物流事業者に運送を委託する場合には、運送の対価である「運賃」と運送以外の役務等の対価である「料金」を別建てとし、契約書等で明確にするよう発荷主事業者に検討を促します。

⑧ 燃料サーチャージの導入・燃料費等の上昇分の価格への反映

(発荷主)
 物流事業者から燃料サーチャージの導入について相談があった場合 及び燃料費等の上昇分や高速道路料金等の実費を運賃・料金に反映する ことを求められた場合には協議に応じ、コスト上昇分を運賃・料金に適 切に転嫁するよう努めます。

⑨ 下請取引の適正化の価格への反映

(発荷主)
 運送契約の相手方の物流事業者(元請事業者)に対し、下請に出す場合、⑤から⑧までについて対応することを求めるとともに、多重下請構造が適正な運賃・料金の収受を妨げる一因となることから、特段の事情なく多重下請による運送が発生しないよう留意します。

■ 輸送・荷役作業等の安全の確保

⑩ 異常気象時等の運行の中止・中断等

(発荷主)
 台風、豪雨、豪雪等の異常気象が発生した際やその発生が見込まれる際には、運転者等の安全を最優先とした対応を図ります。
(着荷主)
 台風、豪雨、豪雪等の異常気象が発生した際やその発生が見込まれる際には、運転者等の安全を最優先とした対応を図るよう、発荷主事業者(原材料の仕入先等)に要請します。

(2)実施することが推奨される事項

■ 物流業務の効率化・合理化

① 工場間輸送管理システム等の導入

(発荷主)
 工場間輸送において、所要の輸送時間や位置情報、入出荷に係る荷待ち時間及び荷役作業等にかかる時間を把握できるシステムの導入等により、効率化に努めます。

② カゴ台車等の活用

(発荷主)
 取引先や物流事業者からカゴ台車等の活用について提案があった場合には、協議に応じ、カゴ台車、折りたたみコンテナ、通い箱等を活用し、荷役時間等の削減を検討します。

③ 入荷業務の効率化に資する機材等の配置

(発荷主)
 指定時刻に着車したトラックに対し、荷待ち時間が発生しないよう、荷役に必要な機材・人員の配置に努めます。

④ 検品の効率化

(発荷主)
 検品方法(納品伝票の電子化、事後検品化等)の効率化を推進し、検品に伴う拘束時間の削減に努めます。

⑤ 物流システムや資機材の標準化

(発荷主)
 取引先や物流事業者からデータ・システムの仕様や資機材の規格等の標準化について要請があった場合は、真摯に協議に応じるとともに、自らも積極的に提案します。

⑥ 配送コースの再編による輸送距離の短縮

(発荷主)
 トラック輸送の輸送距離を短縮し、トラック運転者の拘束時間を削減するため、配送コース再編システム等で配送コースを見直すことに努めます。

⑦ 共同輸配送の推進等による効率化

(発荷主)
 各輸配送において、輸配送の総合的な効率化が見込まれる場合、該当会社において、単独の輸配送から共同輸配送への移行を検討します。

■ 運送契約の適正化

⑧ 物流事業者との協議

(発荷主)
 運賃と料金を含む運送契約の条件に関して、物流事業者に対して積極的に協議の場を設けます。

⑨ 高速道路の利用

(発荷主)
 トラック運転者の拘束時間を削減するため、高速道路の積極的な利用を提案します。また、物流事業者から高速道路の利用と料金の負担について相談があった場合は、協議に応じます。

⑩ 運送契約の相手方の選定

(発荷主)
 契約する物流事業者を選定する場合には、関係法令の遵守状況を考慮するとともに、働き方改革や輸送の安全性の向上等に取り組む物流事業者の積極的な活用に努めます。

■ 輸送・荷役作業等の安全の確保

⑪ 荷役作業時の安全対策

(発荷主・着荷主)
 荷役作業を行う場合には、労働災害の発生を防止するため、安全な作業手順の明示、安全通路の確保、足場の設置等の対策を講じます。

2.発荷主事業者としての取組事項

(1)実施が必要な事項

■ 物流業務の効率化・合理化

① 物流事業者に負担のかからない出荷

 出荷アイテム数の適正化等により、出荷時刻の安定化に努めます。

② 運送を考慮した配送コースの設定

 トラック運転者が輸配送で適切に休憩を取り、また適正な拘束時間となるよう配送コースの設定を検討します。

(2)実施することが推奨される事項

■ 物流業務の効率化・合理化

① 物流コストの可視化

 着荷主事業者との商取引において、基準となる物流サービス水準(店着時刻、センター着時刻)を明確化します。

② 発荷主事業者側の施設の改善

 荷待ち・荷役作業等の時間の削減に資するよう、倉庫等の物流施設のレイアウト変更等、必要な改善を実施するよう努めます。

③ 混雑時を避けた出荷

 道路が渋滞する時間や混雑時間を避けられるような配送コースの設 定を行うことに努めます。

④ 発送量の適正化

 お盆や年末年始等の物量が減少する期間において、配送回数の見直しを行うなど輸配送の体制を見直し、効率化に努めます。

3.着荷主事業者としての取組事項

(1)実施が必要な事項

■ 物流業務の効率化・合理化

① 納品リードタイムの確保

 発荷主事業者や物流事業者の要請に応じ、出荷に係る準備時間を確保し、輸送手段の選択肢を増やすために、発注から納品までの納品リードタイムの見直しに努めます。

(2)実施することが推奨される事項

■ 物流業務の効率化・合理化

① 発注の適正化

 荷待ち時間の削減に努めるとともに運行効率を向上させるため、適正 量の在庫の保有、発注精度向上への取組等を通じて発注を適正化するこ とに努めます。

② 着荷主事業者側の施設の改善

 工場・倉庫等の保管場所のレイアウト変更等を行い、荷待ち・荷役作業等の時間削減、作業性の向上に努めます。

③ 混雑時を避けた納品

 発荷主事業者や物流事業者の要請に応じ、混雑時を避け、納品時間を分散させられるように納品スケジュールの見直しに努めます。

④ 共同輸送等の推進

 発荷主事業者(原材料の仕入先等)の要請に応じ、他の荷主事業者との連携や物流事業者の共同輸送の方が、より効率的な物流が可能となる場合は、発荷主事業者との合意の上で、これを導入する。