▌「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示の自粛に関するお知らせ
令和元年6月
お客様各位
「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示の自粛に関するお知らせ」
この度、(一社)日本パン工業会では、会員会社の提供する食パンや菓子パンのパッケージやホームページ等に記載されている「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示は、お客様に様々な誤認を与えるおそれがあるため、自主基準をつくり当該強調表示を自粛することといたしましたのでお知らせします。
イーストフードや乳化剤は、国際的に安全性が公認され、国が科学的根拠をもってその安全性、有用性を評価している食品添加物です。製パン工程においてイーストフード、乳化剤を使用することは、量産設備により食パン、菓子パン類を製造販売する製パン業界にとって根幹をなす製造技術であり、製パン業界の基盤をなす基礎技術です。当会会員会社では、イーストフードや乳化剤の安全性、有用性を疑う会社は一社もなく、当該強調表示をしていない食パン、菓子パンにはイーストフード、乳化剤を使用しており、その旨を添加物表示欄に記載しています。
「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示は、二十数年前から当会会員の一部の会社で表示されるようになりましたが、お客様への訴求効果があることから、「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示が急速に拡大してまいりました。当会が協力し、日本パン公正取引協議会が年二回開催する包装食パンの表示検査会では、検査員の消費者モニターの方々から、毎回のように「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示に関する様々なご意見がありましたが、これまで当会としてこの強調表示に関して、その科学的根拠を究明することは控えておりました。しかし昨年10月、消費者庁表示対策課より日本パン公正取引協議会に対し、当会会員会社の食パンに表示されている「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示について、お客様に誤認を与える疑いがあるため、「包装食パンの表示に関する公正競争規約」に照らして対処するようにとの情報提供があり、当該強調表示の妥当性について科学的に分析するとともに協議を重ねてまいりました。
イーストフード、乳化剤を使用することは、製パン業界にとって根幹をなす有用有益な技術であり、食品添加物としてのイーストフード、乳化剤の表示義務を回避した食パンや菓子パンのパッケージやホームページで、「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示をすることは、お客様に以下のような誤認を与えるおそれのある表示であるとの判断に至りました。
1.イーストフードや乳化剤は、国がその安全性、有用性を評価し、食品衛生法で使用が認められているにもかかわらず、食品安全面、健康面で問題があるかのような誤認
2.当該強調表示をしている商品が、国が安全性、有用性を評価し認可しているイーストフードや乳化剤を使用した商品よりも優位性があるかのような誤認
3.当該強調表示をしている商品に、イーストフード又は乳化剤がその代替物を含めて一切使用されていない、もしくは含まれていないという誤認
今般、(一社)日本パン工業会では、自主基準をつくり、こうしたお客様に誤認を与えるおそれのある「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示を自粛することといたしました。なお、本自主基準については、今後、日本パン公正取引協議会の会員にも適用すべく速やかに手続きを進め、更に「包装食パンの表示に関する公正競争規約」にも反映すべく協議を継続してまいります。
(一社)日本パン工業会会員各社は、本自主基準の運用を通じて、お客様の自主的・合理的な商品選択に資する食品表示のあるべき姿の実現を目差すとともに、お客様に喜ばれる品質の高いパン製品の提供に努め、食生活と食文化の向上に寄与してまいります。
令和元年6月20日
「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示
の自粛に関する自主基準
イーストフード、乳化剤について、消費者に誤認を与える
おそれのある「不使用」「無添加」等の強調表示は自粛する。
※この自主基準において「表示」とは、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第2条第4項に定める表示である。なお、包装食パンの表示に関する公正競争規約施行規則第1条における「表示」の定義と同様である。
※会員各社は、当該強調表示が記載された包材在庫がなくなり次第、新規包材に順次切り替え、その他の表示媒体も含めて、自主基準に沿った表示への変更に速やかに対応するよう努める。
※PB商品における当該強調表示については、流通等取引先との折衝を行い、順次取り止めるよう努める。