メニュー 

新年のごあいさつ(2024年 飯島会長年頭所感)

一般社団法人日本パン工業会
会 長 飯島 延浩

 初めに、元日に発生いたしました「令和6年能登半島地震」におきましては、多くの尊い命が奪われ、また多数の家屋やビルが倒壊し、避難所生活を余儀なくされている方々が大勢いらっしゃいます。
 私ども日本パン工業会も、地震発生翌日の2日早朝から、国・石川県のご要請により、被災地への緊急食料支援にご協力させていただきました。私ども製パン業界は、どんな困難な状況の中でも、原材料供給面では関連業界の皆様からの多大なご協力をいただきつつ、今後も継続して、当会に与えられた社会的使命である、被災地の皆様に必要とされる食料支援に全力で取り組んでまいります。
 この度の地震等によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災者の方々にお見舞いを申し上げ、また、被災地の一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

 新年に当たり、製パン業界の現状や課題について、いくつか申し上げさせていただきます。

 まずは、原材料・エネルギー価格及び人件費の高騰等に関してですが、昨年、多くの会員企業では、7月に価格改定を実施いたしました。お陰様で、多くの取引先や消費者の皆様にご理解をいただき、業績は総じて回復傾向にあります。
 しかしながら、諸物価高騰による節約意識は一段と強まり、販売競争も激化している状況です。このような厳しい経営環境の中で、引き続き、会員各社がそれぞれ知恵を出して間違いのない施策を講じ、お客様のニーズを的確に捉え、製品の品質向上、値頃感のある製品も含め幅広い価格帯の製品の品揃え、製品の安全確保に万全を期していく必要があります。

 なお、一昨年10月の輸入小麦の政府売渡価格改定におきましては、価格の算定期間を6ヶ月平均から年間平均とする緊急措置が講じられ、更に、昨年4月の麦価改定では、激変緩和措置により1年間での買付価格の上昇が13%であったところ、5.8%に抑えられました。
 お陰様で、私ども製パン業界では、昨年1月の3回連続のパン類の大幅値上げを回避することができ、更に昨年7月の食パン、菓子パン類の価格改定では、約10円アップと改定幅を抑えることができまして、安定した価格での製品の提供が可能となりましたことに、心より感謝いたしております。大変有難うございました。

 次に、昨今の食料安全保障の確保に関する議論にありますように、不安の高まっている世界的な農産物需給の動向等を踏まえ、パン製造に不可欠な原材料・資材の安定調達に、日頃より十分注意しておかなければなりません。

 加えて、外国人も含めた人材確保が各社にとって大きな懸念事項であり、また、物流2024年問題への対応、食品ロスやプラスチック使用量の削減・低炭素社会実現等SDGsの取組、適正な食品表示への対応等製パン業界を取り巻く諸課題にも継続して取り組んでいく必要があります。

 また、パンの消費に近年伸び悩みがみられる中で、パン食の普及・PRへの取組や、日本パン技術研究所等による人材育成、全パン連さんにおける学校パン給食の推進に対する必要な支援を実施することも重要です。

 当会は、お陰様で昨年10月に創立60周年を迎えました。
 次の新しい第一歩となる2024年が製パン業界、関連業界にとって充実した新しい前進の年となりますよう、諸課題への対応とともに、お客様に喜ばれる価値ある製品の提供等に一層努力してまいりたいと存じます。

 皆様におかれましては、本年も変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。