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新年のごあいさつ(2021年 飯島会長年頭所感)

一般社団法人日本パン工業会
会 長 飯島 延浩

 新年明けましておめでとうございます。
 皆様には益々ご清栄のことと心よりお慶び申し上げますとともに、平素より製パン業界の発展に格別のご指導ご支援を賜っておりますことに深く感謝し、厚く御礼申し上げます。
 令和に入り3年目となりましたが、昨年は、2月後半以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、市場環境が大きく変わりました。外出自粛や在宅勤務が広がり、生活様式も変化する中、製パン業界におきましても、在宅需要の高まりから量販店やドラッグストアを中心にまとめ買い等により売上が増加する一方で、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリー等の小売業では、オフィス街や駅周辺を中心に来店者数の減少により売上が減少いたしました。また、パンの種類別では、在宅時間の増加等により食パンやロールパンは一時的に売り上げが増加したものの、外出自粛により菓子パンと惣菜パンの需要は落ち込みました。これらの変化は、6月以降の外出自粛の緩和等により、やや落ち着きが見られる傾向となりましたが、第二波、第三波と感染拡大が繰り返される中で、全体的には依然として厳しい状況が続いております。また、感染拡大の収束の見通しが立たない中で、消費者の節約志向は更に強まり、販売競争が激化している状況にもあります。
 このような厳しい環境の中ですが、製パン業界は、食料の安定供給という非常に重要な使命を果たすべく、食品の安全及び従業員の感染予防対策を徹底しつつ、使命達成に努めているところです。感染予防対策については、政府のご指導や業界団体のガイドラインを踏まえつつ、一定以上の発熱がある者、体調異常等の自覚症状がある者の自宅待機をはじめとする職場における感染予防対策に加え、従業員の日々の行動への注意など、各社でその徹底を図っています。こうした感染防止対策に取り組みつつ、変化する消費者ニーズを的確にとらえ、「新しい生活様式」に対応した製品とサービスの提供に努めてまいります。
 また、新型コロナウイルスへの対応のほか、製パン業界を巡る諸課題にも引き続き対応していかなければなりません。一昨年、当会及び日本パン公正取引協議会では、「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示をすることは、消費者に対し、様々な誤認を与えるおそれがあるため、食パンや菓子パンにおける当該強調表示を自粛するという自主基準を制定いたしました。今後は消費者庁において、「無添加表示」に関するガイドラインの検討が進められる予定ですが、当会といたしましては、消費者に誤認を与えることのない、消費者の自主的・合理的な商品選択に資する、科学的根拠に立った添加物表示のあるべき姿の実現に向けて努力してまいります。
 アフリカ豚熱の感染防止対策につきましては、食品残さ等の食品循環資源の飼料利用について、肉を使用するものには一定以上の加熱処理が必要となる等の新たな規制が、本年4月に始まります。製パン業界では、食品残さの飼料利用に従来から積極的に取り組んでおりますが、新しい規制に円滑に対応できるよう、国とも意見交換を行いつつ、準備を進めてまいります。
 消費税に関しましては、消費税転嫁カルテル、表示カルテルの有効期間が本年3月末までとなりましたが、引き続き適正取引に関する法令への適切な対応等を通じ、製パン業界のあるべき姿の実現を目指して努力してまいります。
 全パン連さんにおける学校パン給食の課題につきましては、2018年10月に発足した「学校パン給食推進協議会」が日本パン技術研究所に、国産小麦を使用したおいしく栄養面に配慮した12種類の学給パンの開発を依頼し、岐阜県の学校給食関係者への提案などのプロジェクトを進めてまいりました。また、栄養教諭等の関係者への当協議会の取り組み紹介などを通じて、パン給食への理解浸透に少しずつ手応えを感じております。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大により、ほとんど活動ができませんでしたが、本年は、感染予防対策を十分講じつつ、学校パン給食関係者との開発したパンの評価や意見交換を重ねるなど、パン給食の実施回数増加を目指して、着実に活動を推進してまいります。
 この他にも、食品ロス削減の主な取組である発注リードタイムの適正化、製造・流通事業者間等の適正取引の推進、今後具体化が進むプラスチック資源循環戦略や容器包装リサイクル制度に係る新たな施策への対応など、取り組むべき課題は多々あります。
 今後とも、業界全体として一致協力して課題への対応を図るとともに、お客様に喜ばれる価値ある製品の提供により、2021年が製パン業界、関連業界にとって充実した新しい前進の年となりますよう、一層努力してまいりたいと存じます。関係業界の皆様におかれましては、本年も変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。