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容器包装の3R推進に係る第3次自主行動計画

般社団法人 日本パン工業会

 製パン事業者は、毎日多種類のパン類を大量に製造し、全国各地の小売店へお届けし、それらの製品は消費者の皆様に購入、消費されています。このように消費者の皆様へ安全・安心で高品質なパン類をリーズナブルな価格でお届けできるのは、工場で製造したパン類を包装することで、食中毒をもたらす微生物の汚染を防ぎ、カビの発生を抑制し、乾燥等の品質劣化を防ぐことでパン類が日持ちするようになり、また容器包装によって効率的な物流と販売が可能になったことが大きく貢献しています。さらに容器包装は、食品表示法や公正競争規約等に則り適正な表示を行い、消費者へ正確な情報提供を行うという機能も有しており、製品にとって容器包装は必要不可欠なものとなっています。
 一方、中身が利用された後は、容器包装は不要となり、家庭ごみなどの一般廃棄物として廃棄されるため、容器包装廃棄物の増加にともない、循環型社会の形成に向けて容器包装の3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進が求められています。当会は、2006年に「容器包装の3R推進に係る自主行動計画」を策定して以来、容器包装の大部分を占めるプラスチック容器包装において、リデュースに関しては削減目標を設定し、これに基づいて会員各社が容器包装の薄肉化、減量化に努め、またリサイクルに関しては、法律に基づいて再商品化義務を果たしています。なおリユースに関しては、パン類の容器包装の再使用は安全性やコスト面から非常に難しく現実的ではないと考えています。
 現在プラスチック容器包装のリサイクルについては、材料リサイクルを優先する制度運用が行なわれていますが、プラスチックの特性から、材料リサイクルは多大なコストを要する反面、リサイクル製品の付加価値は低く、さらに約半量が残渣となるなど課題も多く、当会では、容器包装の状態に見合った合理的なリサイクル手法の採用を継続して主張しており、例えばプラスチック容器包装が有する優れたエネルギー資源としての特性を活用した固形燃料化などのリサイクル手法を、緊急的・補完的な位置付けとするのではなく、広く採用すべきであると考えています。
 当会は、これまで「容器包装の3R推進に係る自主行動計画」として、2010年度を目標年度とする第1次自主行動計画、2015年度を目標年度とする第2次自主行動計画を策定し、会員各社が積極的に容器包装の薄肉化、減量化に取り組んできた結果、排出量削減率の目標を上回る成果を挙げておりますが、減量化は限界に近づいており、今後は素材メーカーや包材メーカーとの連携による更なる技術レベルの向上が不可欠であるとともに、中身製品のロス削減や物流過程などを含めたトータル的な環境負荷低減を目指す、環境配慮設計の考え方が重要となります。今般、現行の第2次自主行動計画が2015年で満了することにともない、引き続き、会員各社が一層の取り組み強化により環境に配慮した事業活動を推進するため、2016年度以降に新たに取り組むべき、第3次自主行動計画を以下の通り策定します。

1. 第2次自主行動計画下での取り組み状況

(1)第2次自主行動計画

 2004年度を基準年として、2015年度までに生産高原単位(生産高10億円当たりのプラスチック容器包装排出量)対比で13%の削減を最低基準とし、更なる削減を図る。

・「排出量」は、各社が日本容器包装リサイクル協会に申請する再商品化義務量の算定方式(自主算定方式又は簡易算定方式)に応じて、排出見込量又は容器包装使用量のいずれかとする。

・再商品化義務のない容器包装使用分(プライベートブランド製品等への使用)に相当する排出量は除外する。

・排出量及び生産高算出の年度の区切りは、各社の事業年度とする。

(2)結果(見込み)

 第2次自主行動計画を策定して以降も、会員各社が積極的にプラスチック容器包装の薄肉化・減量化等に取り組み、2014年度現在の生産高10億円当たりの排出量削減率は、基準年比▲19.0%と目標を上回る状況で推移しており、最終的に第2次自主行動計画が満了する2015年度においても目標を達成する見込みである。

年 度 2004年(基準年) 2011年 2012年 2013年 2014年
排出見込量(t) 31,506 29,663 29,601 28,602 30,285
原単位(生産性10億円当たりの排出量)(t/10億円) 31.5 25.7 25.7 24.6 25.5
基準年比増減率(%) ▲18.5 ▲18.6 ▲21.9 ▲19.0

2. 次期(第3次)自主行動計画

(1)第3次自主行動計画の削減目標

 今般、プラスチック容器包装リサイクル推進協議会が、プラスチック容器包装の削減目標について、2020年までに2004年度比で削減率16%を目指すとしたことから、利用する容器包装の大部分がプラスチック製である当会においても、目標については生産高(10億円当たり)対比で基準年となる2004年度に対し16%の削減を最低基準とし、更なる削減を図ることとする。

・「排出量」は、各社が日本容器包装リサイクル協会に申請する再商品化義務量の算定方法(自主算定方式又は簡易算定方式)に応じて、排出見込量又は容器包装使用量のいずれかとする。

・再商品化義務のない容器包装使用分(プライベートブランド製品等への使用)に相当する排出量は除外する。

・排出量及び生産高算出の年度の区切りは、各社の事業年度とする。

(2)目標達成のための具体的施策

 プラスチック容器包装は、中身製品の保護・品質維持など容器本来の機能を、少ない材料でより効果的に果たすために、複数の材質を組み合わせるなど材料設計が多様であり形状も多岐に亘るが、このたびプラスチック容器包装リサイクル推進協議会は、プラスチック容器包装の3Rの取り組みをより深化させ、環境に配慮したプラスチック容器包装の普及、拡大を図るため「プラスチック容器包装の環境配慮に関する自主設計指針」を策定した。
当会においても、2006年度以降、容器包装の3R推進に係る自主行動計画を策定し、容器包装の薄肉化等、減量化について積極的に取り組んでいるが、リデュースが限界に近づき、トータル的な環境配慮設計の考え方が重要となるなか、自ら環境に配慮した容器包装の設計を行うに当たっての考え方、留意する視点について指針を設け、環境配慮設計指針に沿った取り組みを更に深化させ強化することで、目標達成を図る。

【当会における容器包装の環境配慮設計指針】

 会員各社が、パン和洋菓子製品等の特性を考慮した上で、中身製品のロス削減や物流過程等を含めたトータル的な環境負荷の低減を目的として、以下の各項目に充分留意し、環境に配慮した容器包装の設計に努める。

①中身製品の食品安全衛生及び品質保持を最優先に考慮する。

②消費者の利便性(使い易さ、開け易さ等)を充分に考慮する。

③中身製品の廃棄ロス削減につながる設計(保存性向上、適正な消費期限・賞味期限の設定、適量包装、配送時の破損防止等)

④減量化対策

1)過剰包装の見直し(形状、仕切り、トレー、多重包装、内袋等)

2)軽量化、薄肉化(フィルム、パック等の厚さ、材質の見直し等)

※フィルム包材は厚さ30ミクロン程度が多くなっている(目安)

3)サイズの適正化(容器の大きさ、高さ、幅、袋のピッチ等)

4)空間率(容器包装の隙間は原則的に20%以下とする)

⑤分別し易さ(材質の単一化、複数材質の場合は容易に分離できる設計)

⑥リサイクルし易さ(単一素材、グラシン→紙への変更等)

⑦包材の廃棄ロス削減につながる設計(ロット、機械耐性、シール性、強度等)

⑧物流過程での環境負荷低減(積載率を高める形状、梱包資材の通い箱化等)

⑨販売段階での環境負荷低減(ベーカリー店舗でのまとめ包装等)

⑩使用段階での環境負荷低減(食べきりサイズ等)

⑪再生材の使用等(リサイクル材の使用、植物由来プラスチック等)

⑫従来品との比較(従来品に比べ改善または環境配慮項目をより多く反映)

⑬複数の製品に使用できる汎用性(トレーの共有化等)

⑭わかりやすい表示(中身製品の廃棄ロス削減のためのわかりやすい保存方法や期限表示等)

(3)取り組み事例の紹介

 2016年度から、会員各社が自主的に環境配慮設計に取り組んだ事例を、当会ホームページで公表することで、消費者に対しての啓蒙活動を図るとともに、情報共有による、更なる取り組みの深化を図る

(4)プラスチック素材メーカー、包材メーカー、包装機械メーカーなどとの協力を積極的に推進し、使用量の削減に関する研究、技術開発、製品開発に取り組む。

3. 広報・フォローアップ活動及び制度の在り方等に関する調査・提言

(1)自主行動計画に掲げる目標達成のための取り組み状況を当会ホームページに掲載すると共に、各社の取り組みについては、各社のホームページ等で広報し、当会及び会員各社の取り組みの紹介等を通じて、市民(消費者)、自治体など関係主体との相互理解を促進する。

(2)定期的(年1回)な実績把握により、進捗状況の確認、対策の修正など、目標達成のための必要なフォローアップを行う。

(3)公益財団法人日本容器包装リサイクル協会及び一般財団法人食品産業センター並びにプラスチック容器包装リサイクル推進協議会との連携を深め、再商品化の実態を把握し、関係省庁、市町村等と緊密に意見交換を行い、合理的なリサイクル手法、制度の在り方についての提言を行う。