▌低炭素社会実行計画2030
2023年 1月 24日更新
一般社団法人 日本パン工業会
製パン事業に携わる当会の会員企業は、毎日、多種類かつ大量のパン類を製造し、全国各地の小売店、消費者の皆様にお届けし、安全で安心な食品供給に努めていますが、その受注~生産~物流~販売等の事業活動において、エネルギーを消費し、CO₂を排出しています。
一方で、CO₂の排出削減に関しては、世界全体での温室効果ガスの長期大幅削減を目標に掲げた「パリ協定」が 2016 年に発効し、日本においても2020 年 10 月の内閣総理大臣の所信表明演説において「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことが宣言され、この内容が2021年5月に成立した改正地球温暖化対策推進法の基本理念として規定される等の中で、その取組みが、今後より一層推進されることとなります。
当会においては、これまで、工場・事業場の関連では「低炭素社会実行計画」、物流関連では「環境自主行動計画」を策定し、CO₂の排出削減に積極的に取り組み、目標を上回る成果を挙げてきました(参考資料参照)が、今後ともこれらの取組みを継続し更に推進していくことが重要です。
今般、現行の物流に関する「環境自主行動計画」が終了したことを機に、2021年度以降に取り組むべき計画として、現行の工場・事業場関連を対象とした「低炭素社会実行計画」に物流関連を対象とした「環境自主行動計画」を統合し、新たに「低炭素社会実行計画2030」を以下の通り策定します。
1. 工場・事業場関連におけるCO2削減対策
【目 標】
2013年度を基準年として生産高10億円当たりのCO2排出量原単位を、2017年度から目標年次である2030年度の間に年率1%削減し、2030年度には810t-CO2/10億円以下とする。
工場・事業場関連におけるCO2削減は、基本的にこれまでの「低炭素社会実行計画」の目標を継続し、CO2排出量原単位を年率1%削減し、パリ協定時に日本が掲げた目標と同様の2013年度を基準年とする。
なお、本目標については、電気事業連合会が掲げる実行計画の目標値(2030年までに2013年度比で電気の炭素排出係数を約35%削減)の達成により電気の炭素排出係数が低減されることを前提としていること、今後国が実施する脱炭素化に関連する施策にも大きく関係してくる可能性があることから、その動向、会員各社の取組み状況を踏まえて、必要があれば適宜見直しを行うとともに、5年後の2025年度に実績等を検証の上で改めて検討することとする。
【目標達成のための具体的施策】
(1)工場、生産設備関連の対策
・コージェネレーションシステムの導入
・エネルギー転換(動力・熱源用燃料の天然ガス・電力への転換によるCO₂排出量の削減)
・設備更新による動力・熱等への変換の合理化、放射・伝導・抵抗等によるエネルギー損出の防止、廃熱の回収利用等の促進(高効率モーター、ヒートポンプ等を利用したエアーコンプレッサー、ボイラー、廃蒸気の熱回収など)
・再生可能エネルギーの導入、利用拡大
・省エネタイプの照明(LEDなど)の導入
・フロン排出抑制および温暖化係数の低い冷媒使用機器の導入
・生産工程の見直しによる生産効率の向上(生産の集約、アイドルタイムの削減、ロスの削減など)
・日常的な省エネ活動の推進(こまめな消灯、空調の適切な温度管理、出入口の開閉頻度を減らす、庫内を定期的に整理/清掃し無駄なものを無くすなど)
(2)本社、支社、支店、研究所、営業所、店舗などの対策
・省エネ設備導入(省エネ型空調、照明、ボイラー、昇降機、事務用機器など)
・省エネタイプの照明(LEDなど)の導入
・フロン排出抑制および温暖化係数の低い冷媒使用機器の導入
・排出量取引制度の利用
1) 国内クレジット(大企業等からの技術・資金等の提供により中小企業が行った排出削減の取組)、共同省エネルギー事業(他の者と共同で行ったエネルギー使用合理化の取組)等の利用
2) 国や自治体の排出量の購入等によるカーボンオフセット
(なお排出量取引(第三者認証を前提)についても CO₂削減実績として組み入れる)
・植林や森林管理等の吸収源活動の促進
・機械メーカーなどとの協働により、省エネに貢献する設備開発
・日常的な省エネ活動の推進(こまめな消灯、空調の温度管理、クールビズ、OA機器の適切な管理など)
【フォローアップ等の取組み】
(1)毎年の実績を把握し、進捗状況の確認、対策の修正など、目標達成のための必要なフォローアップを行う。
(2)本計画の取組状況を当会ホームページ等で公開し、環境配慮に関する消費者との相互理解の促進につなげる。
(3)当会環境対策小委員会において会員各企業の情報交換を促進させる。会員各社においては、目標の達成に向け、社内に対策を推進するための管理体制を整備し、組織的、継続的に改善を図る
2.物流関連(自社・委託配送)におけるCO2削減対策
2013年度を基準年として売上高10億円当たりの CO2排出量原単位を、2021年度から目標年次である2030年度の間に年率1%削減し、2030年度には248t-CO2/10億円以下とする。
【目標設定の考え方】
物流関連におけるCO2削減は、工場・事業場関連での目標に準じ、CO2排出量原単位を年率1%削減し、パリ協定時に日本が掲げた目標と同様の2013年度を基準年とする。
なお、本目標については、一部地域でセンター物流から自社物流へのシフトや配送エリアの拡大等の状況が見られること、今後国が実施する脱炭素化に関連する施策にも大きく関係してくる可能性があることから、その動向、会員各社の取組み状況を踏まえて、必要があれば適宜見直しを行うとともに、5年後の2025年度に実績等を検証の上で改めて検討することとする
【目標達成のための具体的施策】
・物流の合理化(積載率の向上、走行距離の短縮、配送コースの統合、物流拠点の集約化、ハブ化による総走行距離の削減等)
・共同配送などの活用
・低燃費、低排出ガス車両の導入(ハイブリッド車、電気自動車、水素自動車などの導入、検討)
・エコドライブ運動の推進(アイドリングストップなど)
・原料メーカーや流通との連携により、原料配送も含め配送便数の合理化を図る
・モーダルシフトの活用、検討
【フォローアップ等の取組み】
(1)毎年の実績を把握し、進捗状況の確認、対策の修正など、目標達成のための必要なフォローアップを行う。
(2)本計画の取組状況を当会ホームページ等で公開し、環境配慮に関する消費者との相互理解の促進につなげる。
(3)当会環境対策小委員会において会員各企業の情報交換を促進させる。会員各社においては、目標の達成に向け、社内に対策を推進するための管理体制を整備し、組織的、継続的に改善を図る。
(参考資料)現行計画に対するこれまでの実績(2021年度時点)
○ 低炭素社会実行計画(工場・事業場関連)
「2013年度を基準年として生産高10億円当たりのCO2排出量原単位を、2017年度から目標年次である2030年度の間に年率1%削減し、2030年度には810t-CO2/10億円以下とする」目標に対し、年率1%以上の削減(2013年度比で24.4%削減の705t-CO2/10億円)を達成した。
2013年度 (基準年) |
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
目標値(t-CO2/10億円 (年率1%削減した時のCO2排出量原単位) |
— | 923 | 913 | 904 | 895 | 886 |
実績(t-CO2/10億円 (CO2排出量原単位) |
932 | 796 | 787 | 767 | 741 | 705 |
基準年 (2013年度)からの削減率(%) |
— | -14.6 | -15.6 | -17.7 | -20.5 | -24.4 |
○ 環境自主行動計画(物流関連)
「2013年度を基準年として売上高10億円当たりのCO2排出量原単位を、2021年度から目標年次である2030年度の間に年率1%削減し、2030年度には248t-CO2/10億円以下とする」目標に対し、2021年度は、年率1%以上の削減(2013年度比で11.8%削減の240.7t-CO2/10億円)を達成した。
2013年度 (基準年) |
2021年度 | |
---|---|---|
目標値(t-CO2/10億円 (年率1%削減した時のCO2排出量原単位) |
— | 270.1 |
実績(t-CO2/10億円 (CO2排出量原単位) |
272.8 | 240.7 |
基準年 (2013年度)からの削減率(%) |
— | -11.8 |