メニュー 

主要食料の安定した提供への取組み

災害時の緊急食料提供への取組み

 平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災に際しては、関係各社が直ちに救援体制を整え、震災の当日あるいは翌日から毎日、パン、おにぎり、弁当、飲料水の救援活動を進め、4月まで計画的に継続しました。なお、4月以降も近畿地区に工場を有する会員を中心に継続しました。製パン各社はパンに限らず米飯類の製造も手掛けておりますし、自社物流体制を構築しております。こうした大災害時の臨機応変な対応は製パン業界だからこそ可能であったと、関係者から感謝されたところです。この際の活動経験に鑑み、当会は政府に協力して、緊急時の危機管理対応体制の整備・強化に努めております。その後も平成11年の有珠山噴火災害、平成16年の新潟県中越地震、平成19年の新潟県中越沖地震等大災害時の緊急食料の提供に貢献しております。

東日本大震災における緊急食料の提供

 平成23年3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災においては、地震発生直後より、農林水産省をはじめとする関係省庁や各自治体と連携して、食料支援活動に総力を挙げて取り組みました。大地震発生から3月:1,139万個、4月:849万個、5月:399万個、6月:264万個、7月:229万個、8月:137万個、9月:72万個、10月:37万個、11月:9万個を提供しました。当会会員によるこの間の緊急食料の種類別提供数は、パンが2,139万個、おにぎりが818万個、菓子類・飲料等が179万個になります。なお、被災地向け緊急食料は、計画停電等により関東地方での増産が難しいことから、主に中部地方以西で生産して、航空自衛隊の小牧基地まで輸送し、ここから被災地に近い松島基地まで空輸されて提供されていましたが、4月中旬以降、現地工場の再開に合わせて被災地への直接輸送体制に切り替えて実施しました。
 この大地震で当会会員の工場も被害を受け、岩手県で1工場、宮城県で3工場、千葉県で1工場、埼玉県で1工場が操業停止となりましたが、3月末までに1工場が全面復旧し、4工場が操業を一部再開しました。更に、4月に3工場が全面復旧し、5月には1工場が全面復旧し、津波により甚大な被害を受けた1工場は10月になってようやく操業を開始することができました。また、原材料メーカーも大きな被害を受け、包装資材、油脂、フィリング類等の供給が不足する事態となり、生産に大きな支障が生じました。更に、東京電力管内で3月14日から実施された計画停電により、発酵が必要なパンは製造に長時間を要し、また製造過程の中断ができないことから、1日1回3時間の予定では操業率50%程度、1日2回の予定では操業率30%以下となり、関東地域では十分な生産体制が確保できない事態となりました。このため、会員各社は製造する品目数を大幅に削減して生産効率を上げることで生産数量の確保に努めるとともに、生産・輸送体制を見直して、深夜操業や計画停電の影響の無い中部地方以西の工場で増産するなどの対応を行いました。主要食料の供給という製パン業界の使命を果たすべく会員各社が最大限の努力をした結果、震災直後には、消費者の購入が急増して関東地方の店舗ではパンが十分に提供できない事態を招きましたが、計画停電の実施に伴う障害をできる限り克服して、販売できるパン製品の種類は限られたものの、震災直後のようなパンが不足する事態が生じることだけは避けることができました。

熊本地震における緊急食料の提供

 平成28年4月14日午後9時26分及び15日午前1時25分(本震)に発生した熊本地震においては、農林水産省をはじめとする関係省庁や各自治体と連携しながら、支援活動に総力を挙げて取り組みました。
 農林水産省の要請(プッシュ型)による緊急食料は、4月17日~22日の6日間で、パン54万個、おにぎり40万個を会員企業10社により提供しました。その他、各社個別に自治体等から緊急食料供給の要請があり、5月末時点での自治体等要請分としてパン・おにぎり約179万個を提供しました。なお、自治体は流通各社を通じても緊急食料の要請を行っており、量販店、コンビニエンスストア等から各会員企業に要請がありました。また、自社工場が被災した企業(4社6工場)は、震災直後に出荷できなくなった製品を近隣被災地へ緊急食料として提供しました。
 今回の熊本地震における当会の緊急食料供給への対応状況を検証し、当会として今後の災害発生に備えた課題整理を行うため、科学技術委員会に緊急食料支援体制検討小委員会を設けて報告書を取りまとめました。
 また、8月には、当会会長と農林水産省食料産業局長との間で「災害時における応援に関する協定書」を締結しました。この協定書により、緊急通行車両の事前届出を行い、災害発生時に迅速に確認標章及び確認証明書の交付を受けることができるようになりました。

平成30年7月豪雨における緊急食料の提供

 平成30年7月豪雨(6月28日~7月8日の西日本を中心に全国的に広い範囲での記録的な大雨)においては、農林水産省をはじめとする関係省庁や各自治体と連携しながら、支援活動に総力を挙げて取り組んだ。緊急食料支援として、農林水産省の依頼を受けて岡山県真備町及び広島県呉市に60,500個のパンを提供したほか、地方自治体からの要請を受けて会員企業5社が111,242個のパンを提供した。また、農林水産省からプッシュ型支援実施に向けた体制整備依頼(岡山県、広島県、愛媛県)があったものの、実施されなかった。

北海道胆振東部地震における緊急食料の提供

 平成30年9月6日午前3時7分に発生した北海道胆振東部地震においては、農林水産省をはじめとする関係省庁や各自治体と連携しながら、支援活動に総力を挙げて取り組んだ。農林水産省の依頼を受けて当初は入間基地からその後苫小牧埠頭に運んで40,000個のパンを提供したほか、地方自治体からの要請を受けて会員企業3社が398,736個のパンと3,750個のおにぎりを提供した。

新型インフルエンザ大流行時の食料供給への取組み

 政府の新型インフルエンザ対策において、製パン業界はライフライン維持に関わる業種に指定され、パンデミック(大流行)時の事業継続計画の策定が求められました。このため、科学技術委員会において検討を重ね、「新型インフルエンザに対する感染防止対策及び事業継続計画策定指針」を平成22年8月に策定し、製パン業界の事業継続計画策定の手助けといたしました。この指針が製パン業界に限らず、広く食品業界の事業継続計画策定の手助けとなることを願い、公開させていただきます。

(参考) 「新型インフルエンザに対する感染防止対策及び事業継続計画策定指針」 PDF(約1MB)